インプラントの治療方法

インプラント治療の一般的な流れ

インプラント治療は一般的に「一次手術」、それに続く「二次手術」、そして「上部構造製作」の順序で進行します。以下にそれぞれのステップを詳しく説明します。

01

一次手術(Implant Placement – Primary Surgery)

一次手術は、インプラントを顎の骨に埋め込む手術です。 手術なので万全の衛生環境で行う必要がありますが、一般的に局所麻酔で対応が可能です。 歯ぐきに切開を行い、インプラントを骨に埋入します。埋入されたインプラントは、骨と結合するための治癒期間が必要です。治癒期間は通常は2ヶ月程度かかります。 前歯など見た目が重視される部分の場合は、一次手術後に一時的な仮歯が取り付けられることがあります。

02

二次手術(Implant Exposure – Secondary Surgery)

インプラントと骨が結合した後、二次手術が行われます。 この手術では歯ぐきに小さな切開を行い、インプラントを露出させ、インプラントにアバットメントを取り付けます。 二次手術後に歯ぐきの治癒を待って、インプラントに取り付ける歯(上部構造)の製作が進められます。 二次手術が必要ない場合もあります(一回法)。

03

上部構造製作(Prosthesis Fabrication)

インプラントの部分の型取りを行い、歯科技工士が上部構造を製作します。 上部構造は、インプラントに取り付ける歯冠、ブリッジ、または取り外し可能な入れ歯など、治療計画によって様々な設計があります。 歯科医師が患者さんの口腔状態に合わせて上部構造を調整し、最終的な装着が行われます。

以上がインプラント治療の一般的な治療の手順です。患者さんの歯の状態や骨の状態によって、インプラント治療の手順が変わることがあります。治療期間も1本歯を入れるだけなら3ヶ月程度で完了することもありますが、大掛かりな処置が必要な場合には治療期間が長くなります。

当院のインプラント治療

信頼・実績のあるインプラントを使用

当院ではノーベルバイオケア社製インプラントを使用しています。ノーベルバイオケアは初めて歯科用インプラントを製品化したインプラントメーカーです。最初のチタン製インプラントが埋入された1965年以来、最も長い臨床実績を持っていることから、非常に信頼の高いインプラントメーカーであると考えています。一言でインプラントと言っても、世界には100種類以上のインプラントが存在しています。インプラントは顎の骨に直接埋め込むものですから、信頼のあるインプラントメーカーを選んだ方が安心です。

長く使う“歯”だからこそ、信頼できるインプラントを。

インプラントは治療後のメンテナンスが必要になります。何らかのトラブルにより修理が必要になることもあるかもしれません。その時にインプラント治療をした歯科医院に通院できれば問題ありませんが、転居や歯科医院の閉院などの理由で通院できなくなる場合もあります。その様な時に、マイナーなインプラントだと近くに扱っている歯科医院が存在しない可能性があります。有名なインプラントメーカーのインプラントであれば近くに同じインプラントメーカーを扱っている歯科医院を見つけられる可能性が高く、安心して治療を受けることができます。

インプラントオーバーデンチャー

インプラントオーバーデンチャーとは

インプラントオーバーデンチャーとは、インプラントで固定できる入れ歯のことです。
インプラントオーバーデンチャーの場合には最小2本のインプラントで入れ歯を支えることができるため、インプラント手術による傷の範囲が小さく、治療費も安くなります。

安全で、正確なインプラント手術を行なっています。

当院では理由がない限り「ガイド」を使用してインプラント手術を行います。「ガイド」とはインプラントを骨内の正確な位置に入れるための補助器具のことです。インプラント手術の時には、事前に撮影したC Tの画像をもとにコンピューター上でシミュレーションを行います。このコンピューター上のシミュレーションを実際の口の中に再現するための器具が「ガイド」です。インプラントを埋める骨の状態は患者さんごとに異なりますから、オーダーメイドの器具になります。

従来はこの「ガイド」を使用せずに歯科医師の技術と経験をもとにインプラント手術を行なっていました。しかし、1mmの誤差が結果を左右するインプラント手術を人の手だけで行うのは非常に難しいことです。実際に、「ガイド」を使用した手術の方がベテラン歯科医師の手術よりも正確である、という研究結果もあります。

口の中の状態によって「ガイド」が使えない場合もありますが、当院ではそのような場合を除き全ての症例で「ガイド」を使用した安全で、正確なインプラント手術を行なっています。

フラップレス手術

フラップレス手術は、インプラント手術の一種です。通常のインプラント手術は歯ぐきを数センチ切開しますが、フラップレス手術は数ミリの穴を開けるだけで済みます。従来の術式では、骨の状態を直接見て判断する必要がありましたが、インプラントガイドを用ることで、骨を直視しなくてもシミュレーション通りにインプラントを埋入することが可能となりました。GBRなど骨に対する処置が必要な場合にはフラップレス手術は行えません。 フラップレス手術の主な特徴は以下の通りです。

01

痛みや腫れが少ない

通常のインプラント手術では、歯ぐきを切り開いて骨を露出させる必要があります。しかし、フラップレス手術では歯ぐきを切る必要がないため、歯ぐきへのダメージが少ないです。これにより、歯ぐきの痛みや腫れ、出血が軽減されることが期待されます。

02

縫合、抜糸が必要ない

フラップレス手術ではメスによる切開がないため、歯ぐきを縫う必要がありません。そのため、手術後に抜糸をする必要もありません。

03

手術時間の短縮

フラップレス手術は通常のインプラント手術と比較して、手術時間が短くなる傾向にあります。これは、歯ぐきを切る必要がないため、切開や縫合などの行程を省略できるからです。

04

治りが早い

フラップレス手術は、歯ぐきへのダメージが少ないため、通常のインプラント手術よりも歯ぐきの治りが速いです。痛み等も少ないため多くの患者さんは通常の活動に早く復帰できます。

骨がない方へのインプラント治療

GBRの治療法・特徴

歯が抜歯されると顎の骨は痩せて細くなってしまいます。そのままでは十分な太さのインプラントを埋入できなかったり、周囲の歯と位置が揃わないなど問題がある場合には人工的に骨を増やす処置を行います。これをGBR(Guided Bone Regeneration)と言います。顎骨の上に、時間が経つと自分の骨に置き換わる人工骨(骨補填剤)を置き、メンブレン(膜)で覆った状態で治癒を待ちます。骨の状態により、インプラント埋入と同時に行える場合と、GBR単独で行い後からインプラント埋入を行う場合があります。

GBRの処置は1回で終わり、その後は消毒と抜糸が必要になります。骨ができるまで6ヶ月程度かかります。

サイナスリフトの治療法・特徴

上顎の骨の中には上顎洞と呼ばれる空洞があります。上の奥歯では骨が少なく上顎洞との距離が近いために、インプラントを埋めるスペースが不足している場合があります。このような場合に骨を増やす手段がサイナスリフト(上顎洞底挙上術)です。サイナスリフトには歯が無くなった顎堤の上から垂直方向に行うクレスタルアプローチと、水平方向に行うラテラルアプローチがあり、特にラテラルアプローチのことがサイナスリフトと呼ばれることが多いです。

サイナスリフト(ラテラルアプローチ)では、歯茎の横から穴をあけて上顎洞庭粘膜を持ち上げます。そしてできたスペースに人工骨を充填し、これが自分の骨と置き換わるのを待ちます。

ソケットリフトと比べて良い点

ソケットリフトよりも広範囲に、そして垂直的に多くの骨を作る必要がある場合にはサイナスリフト(ラテラルアプローチ)の方が適しています。しかし、傷が大きくなるためソケットリフトよりも腫れや痛みがでやすい傾向にあります。

サイナスリフトの 治療期間・通院頻度など

サイナスリフトの処置自体は1回で終わります。術後に消毒と抜糸が必要になります。既存の骨が少なく同時にインプラントの埋入ができない場合には6ヶ月程度待ってからインプラントの埋入処置が必要です。

ソケットリフトの治療法・特徴

ソケットリフト(クレスタルアプローチ)は患者さんへの侵襲が少ない上顎洞底挙上術です。インプラントを埋入する場合には、顎骨に穴を空ける必要がありますが、この穴から器具を挿入して挙上を行います。通常のインプラント治療のように埋入窩を形成した後、洞底粘膜を挙上し骨補填剤を填入します。その後、インプラント体を埋入して終わりです。

サイナスリフトと比べて良い点

上顎洞底挙上のために新たに切開等を加える必要がないため、患者さんへの侵襲が少なく腫れや痛みが出にくいです。また、ソケットリフトと同時にインプラントの埋入が行える場合が多いです。ソケットリフトで対応可能な骨の状態である場合は全てソケットリフトで対応します。

ソケットリフトの治療期間・通院頻度など

ソケットリフトとインプラント体の埋入を同時に行えることが多いです。術後に消毒と抜糸が必要になります。手術から2ヶ月程度で、上部構造の製作を開始します。

インプラント周囲炎について

インプラント周囲炎の症状・特徴

インプラント周囲炎はその初期段階として、インプラント周囲粘膜炎があります。症状としてはインプラント周囲の出血がある場合が該当します。この出血はインプラント周囲の粘膜に炎症が起きていることを意味していますが、この段階では適切な処置を行えば元の状態に戻すことができます。

インプラント周囲の炎症がインプラントを支えている骨にまで到達すると周囲の骨が溶けてインプラント周囲炎となります。インプラント周囲炎はインプラント周囲の骨が溶けている状態なので、進行するとインプラントの支えが無くなり、抜けてしまうこともあります。症状は、インプラント周囲の出血や排膿、腫脹などが認められます。炎症が強ければ痛みを伴うこともありますが、痛みが出ることは少なく知らないうちに進行していることがあります。これを防ぐには歯科医院でのメンテナンスが不可欠です。

インプラント周囲炎の治療方法

インプラント周囲粘膜炎の状態では、炎症の原因となっている歯垢を取り除き、必要に応じて消毒などを行うことで炎症を取り除き、元の状態に戻すことができます。汚れが付着しやすい原因が歯の形にある場合にはインプラントの歯の形を修正することもあります。

インプラント周囲炎まで進行した場合、基本的には溶けた骨をもとの状態に戻すことは難しいです。炎症を取り除くための処置を行い、場合によっては外科処置で炎症を取り除くこともあります。炎症がなくなったとしても、元よりは歯茎が下がってしまうことが多いです。

インプラント周囲炎は治療が難しく、予防することが重要です。もともと歯周病がある患者さんの場合、歯周病を治してからインプラント治療をしないとインプラント周囲炎になりやすいです。そのためインプラント治療前に歯周病治療を適切に行うことが必要です。

他院で失敗したインプラント治療について

インプラントを撤去

インプラントと骨との結合が失われていたり、そもそもインプラントを埋入する位置が問題の場合はインプラントを撤去して、再度インプラントを埋入する必要があります。インプラントが撤去となる場合の多くは、インプラントを埋入するのに十分な骨が確保できないので、GBRなどを併用することになります。

インプラントを撤去せずに治療

インプラントの撤去を行わずに対応する場合もあります。この場合は顎骨に埋入されているインプラント周囲の組織に大きな問題がないことが条件です。軽度のインプラント周囲炎や、中のネジが折れている場合、形態不良の上部構造を再製作する場合などが該当します。

インプラント治療後のアフターケア

健康な状態を維持したければ、インプラント治療後のメンテナンスは必須です。これはインプラントであっても、自分の歯であっても同様です。インプラントの場合は虫歯にはならないので、インプラント周囲炎(歯周病)と噛み合せのコントロールが大切になります。

他にどんな歯科治療をお探しですか?

静岡市葵区の歯医者「池田デンタルオフィス静岡」では、再治療が少なく、長期的に安定する治療を提供します。
日本の歯科治療は、痛みを取り除く治療(対処療法)は得意ですが、問題の原因を解決する治療(原因療法)は苦手な傾向にあります。当院では、問題の原因を解決する治療で、お口の中の状態を長期的に安定させることを目指して治療を行います。

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