30代におけるインプラント治療の必要性
インプラント治療の多い年齢層は60代なので、30代でインプラント治療を受けるのは少数派です。しかし、若いからこそインプラント治療を受けた⽅が良い理由があるので解説します。
30歳の平均余命は50年
30代が⻭を失った時にインプラント治療を受けた⽅が良い理由は、インプラントは他の⻭に負担をかけない唯⼀の治療法だからです。30代の平均余命は50年以上あるため、他の健康な⻭をできる限り⻑持ちさせることが特に重要です。
インプラント治療最⼤のメリットは他の⻭に負担をかけないことです。インプラント⾃体が⾻と結合するため、⻭を⼊れるために隣の⻭を削ったりする必要がありません。噛んだ⼒もインプラントと結合している⾻に伝わるので、他の⻭に過剰な負担をかける⼼配もありません。
これらのことから、インプラント治療を受けることは他の健康な⻭を守ることにも繋がります。
⽣涯でかかる治療費が安く済む
インプラント治療は⾼額ですが、適切な治療を受ければ⽣涯でかかる治療費が結果的に安くなります。
インプラント以外の治療法で⻭を⼊れた場合、他の⻭に負担がかかります。そのため⻑期的に⾒ると⾃分の⻭を抜⻭しなければならないリスクが⾼くなります。抜⻭をして⻭の本数が少なくなると、残っている⻭への負担が⼤きくなります。
⻭の状態が悪くなったり、複数本の⻭を失ってからインプラント治療を⾏う場合、当然ながらインプラント1本の治療よりも⾼額な治療費がかかります。
それよりも初めに⻭が悪くなった時にしっかりとした治療を受けた⽅が良いのではないでしょうか。
30代でインプラント治療を受けるデメリット
30代でインプラント治療を受けるデメリットも存在します。若くしてインプラント治療を受ける場合にはどのようなリスクがあるのか理解してから治療を受けるようにしましょう。
インプラントが50年もつのか?
前項でも述べた通り、30歳の場合は平均余命が50年あります。先の50年を考えると、天然⻭を守るという意味では確かにインプラント治療は有効な⽅法です。⼀⽅で、「インプラントが50年持つのか?」という別の問題があります。
現在使⽤されている⻭科⽤インプラントが⽇本に⼊ってきて、まだ40年程度しか経っていません。そのため、患者さんが30歳の時に⾏われたインプラント治療が50年後どうなっているのかは誰にもわかりません。
⼀⽅で、20年など⻑期間経過でも良い治療成績が報告されていることを考えると、50年問題なく機能する可能性は⼗分にあります。
どちらにしろ30代でのインプラント治療には、⻭がないところに⻭を⼊れるという単純なインプラント治療ではなく、⻑期予後を考慮した繊細な治療が求められます。
リスクを最⼩限にする⽅法
30代で⾏うインプラント治療のリスクを最⼩限にするために考慮すべきことがいくつかあります。
まず⼀つ⽬は、⾃分の⻭を出来る限り残すことです。
⾃分の⻭を延命できれば、インプラントが必要になる時期を先送りできます。10年延命できれば、インプラントの期間が40年に減少するわけです。
⼀度「抜⻭」という診断を受けた⻭は状態が悪いのは確かだと思いますが、⻭の状態と治療次第では⾃分の⻭を残せる可能性があります。
仮にその⻭が抜⻭しか⼿段がなくても、⻭の移植が出来る場合もあるので、合わせて
検討してください。
もう⼀つは、抜⻭になった原因を分析することです。
当然ですが⻭が悪くなるのには原因があります。⻭がない部分にインプラントで⻭を⼊れるのは簡単です。しかし、「なぜその⻭が⾍⻭になったのか?」「なぜその⻭が割れたのか?」この分析をしないまま治療を⾏っても、今度は数年後に別の⻭がインプラントに置き換わることになるでしょう。
しっかりと⻭が悪くなった原因を解決する治療計画でなければ⻑期的な安定は⾒込めません。
他の治療法(⼊れ⻭、ブリッジ)との⽐較
⻭がない部分を補う治療法として、インプラントの他に⼊ればとブリッジがあります。
私はすでに⼊れ⻭を使⽤している⽅意外には⼊れ⻭をおすすめすることはありません。⼊れ⻭は取り外しが必要で⼊れ⻭を洗浄する⼿間があります。これだけで確実にQ O L(⽣活の質)が下がるからです。また、⼊れ⻭を⽀えている⻭の状態が悪くなる可能性が⾼いです。
ブリッジに関して、保険のブリッジは10年⽣存率が30%程度しかありません。セラミックのブリッジも10年以降は⽣存率が下がります。やはり、ブリッジを⽀えている⻭の状態が悪化しやすいです。
⼊れ⻭もブリッジも、特に30代など若い患者さんには、おすすめできる治療法ではありません。
インプラントに関するよくある質問
インプラントは誰にでもできるのか?
インプラント治療⾃体は⻭科医師免許があれば誰でもできてしまいます。そして、近年のインプラントは良く出来ているので、⾻の中に⼊れれば基本的に⾻と結合します。そのため、⻭がないところに⻭を⼊れるだけなら簡単にできるのです。
しかし、前項で述べたように⻑期的に安定するインプラント治療を⾏うためには考慮すべき事項がたくさんあります。
他の⻭の状態や⻭茎の厚み、インプラントを埋⼊する位置・深度、アバットメントの構造・着脱回数、アバットメント・上部構造の形態・材質など細かく検討すべき事項は書ききれない程あります。
患者さんの側からはわからない項⽬がほとんどですが、⻑期的に安定したインプラント治療のためには術者の⼒量が⼤きく影響します。
インプラントはなぜ値段が違うの?
インプラントは保険外の治療なので、医院ごとに治療費が異なります。⾼いのには⾼い理由があり安いのには安い理由があります。
安いインプラントの場合は、⻭科医師が治療計画などに費やす時間が短かったり、安いインプラント体を使⽤している可能性があります。
⼀概には⾔えませんが、安すぎるインプラント治療には注意が必要です。