はじめに
前歯のガタガタした歯並びを改善するためにセラミック矯正を選択される方は多くいらっしゃいますが、残念ながら治療がうまくいかずにやり直しになってしまうケースも存在します。今回ご紹介するのは、東京の審美歯科でセラミック矯正を受けた後、わずか4ヶ月でやり直しが必要になった症例です。
患者さんの初診時の状況
主訴と経緯
- 年齢・性別:40代・女性
- 主訴:連結されたセラミックをやり直したい
- 治療経緯:ガタガタの歯に悩んでいて、4ヶ月前に東京の審美歯科でセラミック矯正治療を受けた
前回治療の問題点
患者さんが当院に来院された理由は、前回の治療で以下のような問題が生じたからです:
- 歯茎の炎症と腫れ:治療後に歯茎が腫れて炎症を起こすようになった
- 歯茎の圧迫による違和感:常に歯茎が圧迫されているような不快感がある
- 審美的な不満:自然で綺麗な歯が良かったが見た目が思い通りにならなかった



(*もともと噛み合わせに問題があり、上下の歯が左右にズレています。今回は噛み合わせの改善は希望されなかったので、前歯のセラミック治療を主に行なっています。)
なぜセラミック矯正が上手くいかなかったのか?
1. 歯周病治療を行なっていない
審美歯科での治療では、最短2回の通院でセラミック歯が入るという治療だったようです。そのためセラミック治療を行う前に歯周病の治療が十分に行われていませんでした。歯周病がある状態でセラミック治療を行うと、歯茎の炎症や腫れの原因となります。
2. 無意味なセラミック歯の連結
複数歯を連結する場合もあるのですが、今回は歯の健康や患者さんの利益を考えると無理に連結する必要はないです。質の低い審美治療では治療の手間の問題や、歯の隙間によるクレームを防ぐために連結する傾向があります。無理な連結セラミック歯では以下の問題があります。
- 清掃性の悪化:歯磨きが困難になり、プラークが蓄積しやすい状態。歯茎の炎症が起きるので長持ちしない。
- 違和感の原因:歯と歯の隙間を埋めるため、無理な形状で歯茎を圧迫するので違和感の原因になる。

3. 仮歯の調整を行なっていない
前回の治療は以下のような短期間で行われていました:
- 1回目:歯を削り仮歯装着
- 2回目:セラミック完成・装着
このような短期間の治療では、患者さんの希望や実際の使用感を確認できないため、満足のいく結果が得られにくくなります。失敗を避けるには仮歯の状態で見た目や使用感を確認し調整が必要になります。
当院での治療アプローチ
段階的な治療計画
セラミック歯を装着するのは治療の最終段階です。その前に感染を取り除く治療(歯周病、虫歯)や、仮歯の調整を行うことが失敗のないセラミック治療には必要です。
- 歯周病治療・虫歯治療:歯茎の炎症を改善する・虫歯を取り切る(感染の除去)
- 仮歯での形態確認:仮歯の状態でしばらく過ごし、歯の形や使用感を確認する
- セラミック治療:仮歯と同じ形の最終的なセラミック歯の製作・装着
仮歯期間の重要性
当院では仮歯の期間を十分に設け、以下の点を確認してから最終的なセラミック歯を製作しました:
- 見た目の確認:患者さんの希望に合った形や長さ
- 機能性の確認:噛み合わせや発音への影響
- 清掃性の確認:日常的な歯磨きのしやすさ
- 違和感の有無:装着感や圧迫感の確認


治療結果
症状の改善
- 歯茎の炎症:日常的に歯茎が腫れることは無くなった
- 違和感:違和感がなくなり、快適に過ごせるように
- 審美性:希望通りの美しい歯並びを実現できた




患者さんの満足度
患者さんからは「治療を受けて良かった」と大変喜んでいただけました。
歯周病や噛み合わせの問題があるので、今後は良い状態が維持できるようメインテナンスが必要になります。
治療詳細
治療内容
- セラミック治療:10歯(前歯8歯、奥歯2歯)
- 歯周病治療:歯茎の炎症改善
- 虫歯治療:奥歯の虫歯の治療
治療期間
6ヶ月(通院頻度により変動します)
治療費
総額:1,441,000円(税込)
まとめ
セラミック矯正は適切に行えば非常に効果的な治療法ですが、治療前の準備や治療過程での十分な確認が欠けると、今回のようなやり直しが必要になることがあります。重要なのは:
- 治療前の口腔内環境の整備
- 仮歯期間での十分な確認
- 患者さんとの綿密なコミュニケーション
これらのポイントを押さえることで、満足度の高いセラミック矯正治療が可能になります。
注意事項
- 治療結果には個人差があります
- 治療費の総額は歯の状態や希望により変動します
- 詳しい治療内容については歯科医師にご相談ください
この症例紹介が、同様の治療をお考えの患者様の参考になれば幸いです。