歯列矯正の7つのデメリット|治療法と医院の選び方

歯列矯正に対する

「痛い」

「高い」

「目立つ」

といったネガティブな印象は、矯正をためらう大きな理由のひとつです。しかし、これらはすべての人に当てはまるものではなく、治療方法や医院の選び方によって大きく軽減することが可能です。

この記事では、歯列矯正を検討する上で知っておきたい主なデメリットやリスクを解説しつつ、後半ではそれらをどうすれば軽減できるのかについてもご紹介していきます。

事前にデメリットを正しく理解しておくことで、自分に合った矯正治療をスムーズに選択できるようになります。

歯列矯正の主なデメリット

歯列矯正は、歯並びや噛み合わせを改善するために非常に有効な治療法ですが、治療中に発生する以下のデメリットもあります。

  • 矯正治療中に痛みが生じる
  • 治療中の見た目が気になる
  • 治療期間が長い
  • 歯磨きがしづらいため、虫歯や歯周病になりやすい
  • 口内炎ができる可能性がある
  • 適切に装置をつけないと後戻りするリスクがある
  • 高額な費用がかかる

デメリットについても十分に理解し、治療にのぞんでください。以下では、デメリットが生じる理由について解説します。

矯正治療中に痛みが生じる

歯列矯正の治療中には、矯正器具を新たに装着した直後や調整後に痛みを感じることがあります。

歯に圧力がかかるため、数日間は歯が痛んだり、違和感を覚えたりするケースが一般的です。しかし、この痛みや不快感はほとんどの場合、数日以内に軽減します。

治療中の見た目が気になる

矯正治療中の見た目が気になる方は多いです。特に表側矯正では、金属のブラケットやワイヤーが目立つため、笑ったときや会話の際に他人の目が気になりやすくなります。

ただし、マウスピース矯正や裏側矯正を選べば、これらの問題を解消できます。マウスピース矯正は透明で目立ちにくく、裏側矯正は歯の裏側に装置を取り付けるため、外見上ほとんど気になりません。

治療期間が長い

成人の場合、歯と顎の成長が完了しているため、矯正治療が進む速度は子供に比べて遅くなることが一般的です。

通常、治療には数ヶ月から数年の期間がかかります。この期間、定期的に矯正装置の調整をおこなう必要があるため、治療が長期にわたってしまうのです。

とはいえ、歯列矯正を完了させた後には、その効果を長期的に実感できるため、時間をかける価値はあります。

歯磨きがしづらいため、虫歯や歯周病になりやすい

矯正治療中は、矯正装置が歯と歯の間や歯の表面に密着するため、ブラシが届きにくい場所が増えます。

これにより、プラークが蓄積しやすくなり、十分な歯磨きができないと、虫歯や歯周病のリスクが高まります。そのため、矯正中は特に丁寧な歯磨きが必要です。

また、専用の歯ブラシやフロスを使って隙間をしっかりと清掃することが大切です。

口内炎ができる可能性がある

矯正治療中に、装置が唇や頬とこすれて口内炎ができることがあります。

特にワイヤー矯正の場合、矯正装置のワイヤーやブラケットが口内の粘膜に接触することで、傷つきやすくなるため、口内炎ができやすいです。

もし口内炎がひどくなるようであれば、歯科医に相談してください。

適切に装置をつけないと後戻りするリスクがある

歯列矯正の治療直後は、歯がまだ安定していないため、矯正された歯は動きやすい状態にあります。そのため、治療が終了しても、歯並びを維持するために保定装置を使用することが非常に重要です。

保定装置を使用しない場合、歯が元の悪い状態に戻ってしまう後戻りのリスクがあります。治療後に歯をしっかりと安定させるためには、指定された期間中に保定装置を使用することが不可欠です。

高額な費用がかかる

歯列矯正は、自費診療となるため、一般的な虫歯治療と比べて高額な費用がかかります。

矯正治療の費用は、使用する装置の種類や治療期間によって異なります。たとえば、ワイヤー矯正やマウスピース矯正など、装置の選択肢によっても費用が大きく変動します。また、治療期間が長くなるほど費用が増える傾向があります。

治療を始める前に、費用についても歯科医と相談しておきましょう。

歯列矯正で知っておきたいリスク

歯列矯正には、いくつかのリスクがあります。以下に、考えられる一般的なリスクを記載しますので、歯列矯正をおこなう前にご確認ください。

  •  歯の動き方には個人差があり、治療期間が延長する可能性がある
  •  歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがある
  • ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがある
  • ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがある
  •  矯正歯科装置などにより金属等のアレルギー症状が出ることがある
  •  矯正歯科装置を外す際にエナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性がある
  • 動的治療が終了し装置が外れた後に現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす必要性が生じる可能性がある
  •  治療後に親知らずの影響で歯並びや咬み合せに変化が生じる可能性がある
  • 加齢や歯周病などにより歯並びや咬み合せが変化することがある

疑問や不安な点がある場合は、歯科医にご相談ください。

歯列矯正のデメリット・リスクを軽減するには?

歯列矯正のデメリットやリスクを軽減するためには、適切な医院選びや治療方法の選択が重要です。

経験豊富な矯正歯科医に相談し、治療が包括的におこなえる医院を選ぶことで、リスクを最小限に抑えられます。また、マウスピース矯正を選ぶことも、見た目や快適さを重視する方にとっては有効な方法です。

以下で具体的に解説しますので、歯列矯正の歯科医院を選ぶうえでの参考にしてください。

矯正治療の経験が豊富で、包括的に治療できる医院を選ぶ

歯列矯正のリスクを軽減するためには、矯正治療の経験が豊富な医院を選びましょう。矯正治療と平行して定期的な歯磨き指導やクリーニングを受けられるため、装置装着中に生じやすい虫歯や歯周病のリスクを大幅に軽減できます。

また、矯正単独では難しい症例でも、抜歯や補綴などの治療と組み合わせた包括的なアプローチが可能になります。同一医院内で全ての治療が完結するため、複数の歯科医院を行き来する手間や追加費用も節約できます。

マウスピース矯正を選ぶ

歯列矯正のデメリット・リスクを軽減するためには、自身に合った矯正方法を選ぶことも大切です。

たとえば、マウスピース矯正であれば以下のデメリットを軽減できます。

  • 透明で目立ちにくいため、見た目が気にならない
  • 取り外し可能であるため、歯磨きがしやすい
  • こすれにくいため、口内炎ができにくい
  • 金属を使わないため、金属アレルギーのリスクがない

ただし、一日20時間以上の装着が必要で、自己管理能力が求められるため、装着時間を管理しづらい方はワイヤー矯正が適しているでしょう。

当院では、マウスピース矯正をおこなっております。詳細は、下記のページにてご確認ください。

歯列矯正で得られるメリット

ここまで歯列矯正のデメリットを解説してきましたが、歯列矯正には多くのメリットがあります。たとえば、以下3つです。

  • 歯を失うリスクを軽減できる
  • 見た目のコンプレックスを解消できる
  • 適切な歯の治療を選択できる

これらのメリットは、日々の生活の質を向上させ、長期的な健康維持にもつながります。以下で具体的に解説していきますので、デメリットだけではなく、メリットから歯列矯正を検討してみてください。

歯を失うリスクを軽減できる

歯列不正が進行すると、歯を失うリスクが高まります。たとえば、噛み合わせが悪く、前歯がきちんと噛んでいない場合、歯に過度な負担がかかり、早期に歯を失う原因となることがあります。

また、歯並びが悪いと歯磨きがしづらく、虫歯や歯周病のリスクも増大します。こうした問題を根本的に解決するためには、歯列矯正が効果的な手段です。

見た目のコンプレックスを解消できる

歯並びにコンプレックスを抱えている方は少なくありません。特に50代~60代の患者さんの中には、長年歯並びの悪さに悩み続けている方が多いです。

歯列矯正は、数年の治療でこのコンプレックスを解消することができます。今後何十年もコンプレックスを抱えて生きるよりも、わずか2年程度の治療でその悩みを解決できるほうが、人生の質は向上します。

適切な歯の治療を選択できる

適切な噛み合わせが確保されていれば、後に歯が損傷してインプラントやクラウンなどの治療が必要になった場合でも、理想的な治療計画を立てられます。一方、歯列不正のままだと、治療の選択肢が限られ、妥協的な対応をせざるを得ないケースが多くなります。

たとえば、歯が傾いている状態では、インプラントの角度や位置が制限され、結果として機能性や美観が損なわれることがあります。そのため、歯列矯正は単に見た目を整えるだけでなく、生涯にわたる歯の健康管理の基盤となる重要な治療と言えるでしょう。

より具体的なメリットについては、以下のページで解説しています。そちらも参考にしてください。

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