「セラミック治療後、歯が痛くて困っている」
「治療直後は大丈夫だったのに、最近になって痛みが出てきた……」
セラミック治療後の痛みには、咬み合わせの問題、神経への刺激、歯茎の炎症など、さまざまな要因が関係している可能性があります。
本記事では、セラミック治療後に生じる痛みの原因を状況別に解説し、それぞれの適切な対処法についてご説明します。
痛みの種類や症状に応じた対応方法を理解し、早期の改善につなげていただければと思います。
セラミック治療直後に痛みが出る原因
セラミック治療直後に痛みが出る原因として、下記の4つが考えられます。
- 神経に炎症が起きている
- セラミックの形が合っていない
- 噛み合わせが合っていない
- 根管に細菌が残っている
以下では、痛みを引き起こす具体的な理由や対策について解説します。ご自身の痛みの原因を探りながら、今後の対処法を検討しましょう。
神経に炎症が起きている
セラミック治療後に、神経の一時的な炎症で痛みを感じるケースがあります。
歯の神経は非常に敏感で、わずかな刺激でも炎症反応を引き起こす場合があります。たとえば、セラミックを装着するために歯を削る際、振動や熱による刺激で神経が一時的に炎症を起こしてしまうのです。
また、神経を残す治療を選択したものの、その後感染してしまった場合には元に戻ることはないので神経を抜く処置(根管治療)が必要です。
冷たいものがしみる程度であれば経過を見て問題ありませんが、何もしなくても痛い(ズキズキする)場合には神経の治療をしなければならない可能性が高いです。
セラミックの形が合っていない
セラミックの形が歯に適合していないと、痛みが生じる場合があります。これは、セラミックと歯の間に微細な隙間が生じることで起こります。
隙間があると、食べ物や飲み物が入り込み、痛みや知覚過敏のような症状が現れてしまうのです。例えば、冷たい飲み物でチクチクと痛んだり、噛むと違和感を覚えたりします。また、セラミックの端が歯茎を刺激し、炎症を引き起こすケースもあります。
これらの症状がある場合は、早めに歯科医院を受診し、セラミックの調整・再製作をおこなってください。
噛み合わせが合っていない
噛み合わせが合っていないと、セラミックだけが反対の歯と強く接触したり、噛む力が特定の部分に集中したりすることで痛みの原因となります。過度な負担がセラミックや歯に加わり、痛みやしみる症状として現れるのです。
たとえば、食事の際に特定の場所だけが強く当たる感覚があったり、噛むたびに違和感を覚えたりします。また、装着直後は気付かなくても、時間の経過とともに噛み合わせが変化し、徐々に症状が出るケースもあります。
これらの症状がある場合は、早めに歯科医院で噛み合わせの調整を受けてください。
根管に細菌が残っている
根管治療が不十分なままセラミックの被せ物や詰め物を装着した場合には、細菌が残存し、炎症で痛みが起こります。時間とともに症状が悪化し、腫れや発熱を伴う場合や、根の先端に膿がたまる場合もあります。
また、根管に細菌が残っている場合は、治療後すぐにではなく、長期間経過後に痛みを感じるケースもあります。
このような症状がある場合は、再度の根管治療が必要です。
過去に治療したセラミックが痛む・染みる原因
過去に治療したセラミックが痛んだり染みたりする場合は、下記の原因が考えられます。
- 二次カリエスになっている
- セラミックの割れ・欠け
- 歯茎の腫れ
- 天然歯のすり減り
- 知覚過敏による染み
以下で痛みや症状の特徴を解説しますので、原因を探る参考にしてください。ただし、具体的に診察してみなければわからない場合もありますので、早い段階での診察をおすすめします。
二次カリエスになっている
過去に治療したセラミックの痛みの原因は、二次カリエスかもしれません。二次カリエスとは、セラミックの下やその周辺に虫歯ができている状態です。
見た目ではわかりにくいため、気づいたときには進行していることも多くあります。
この場合、セラミックを外して虫歯治療を行い、新しいセラミックを作り直さなければなりません。
セラミックの割れ・欠け
セラミックの割れや欠けがある場合は、痛みやしみる原因となります。セラミックに亀裂や破損が生じ、その隙間から刺激が歯に伝わることで起こります。
この場合、セラミックを新しく作り直さなければなりません。もし割れ・欠けがあるとご自身で気づかれた場合には、早めの治療をおこなってください。
特に歯ぎしりや食いしばりの習慣がある方に多く見られるので、状態によっては噛み合わせ矯正が必要です。
歯茎の腫れ
過去に治療したセラミックの痛みや染みる症状は、歯茎の腫れが原因である可能性があります。これは、複数の歯を連結したセラミックや、見た目を整えるために不自然な形態で装着したセラミックにより、歯磨きが難しくなることで起こります。
清掃が行き届かない部分に細菌が溜まり、歯茎に炎症を引き起こすのです。わかりやすい症状として、歯茎が赤く腫れたり、歯磨き時に出血したりします。
これらの症状を防ぐには、適切な清掃方法を歯科医に確認し、定期的なメンテナンスを受けてください。
天然歯のすり減り
長期間使用したセラミックで痛みを感じるようになったら、天然歯のすり減りが原因である可能性が高いです。これは、セラミックと天然歯の摩耗する速さが異なるためです。
天然歯は時間とともにすり減っていきますが、セラミックはほとんど摩耗しないため、噛み合わせのバランスが崩れていきます。特に、セラミックと天然歯が接触する部分で噛むたびに痛みを感じたり、特定の場所に強い圧力がかかったりすることがあります。
噛み合わせのバランスを保つため、定期的な歯科検診で調整を受けてください。
知覚過敏による染み
セラミックを装着した歯に染みる症状が出たら、知覚過敏の可能性があります。歯周病による歯茎の後退や、歯ぎしりによる歯の摩耗により、歯の根元の象牙質が露出することで起こります。
露出した象牙質は外部の刺激を受けやすい状態です。そのため、冷たい飲み物や熱い食べ物で痛みを感じたり、歯磨き時に染みたりします。
また、歯根の露出がなくても過度な咬み合わせの負担により知覚過敏の症状が出る場合もあります。
早期発見・早期治療が症状の改善につながるため、気になる症状がある場合は歯科医院での診察をおすすめします。
セラミック治療後の痛みを一時的に防ぐ対処法
セラミック治療後の痛みを防ぐ方法として、最もおすすめなのは歯科医院への相談です。歯科治療は早期発見が大切なので、痛みを感じたらすぐに歯科医院で診てもらってください。
しかし、すぐに歯科医院へ行けない場合もありますよね。そこで、以下では一時的な対処法をお伝えします。
硬いものや熱いものなどの刺激を避ける
セラミック治療後の痛みに悩まされている方は、一時的に歯への刺激を控えてください。治療で歯を削った後、神経が一時的に敏感になっているためです。
刺激を避けることで、神経の過敏な状態が自然と落ち着いていきます。具体的には、硬い食べ物を避け、熱いものや冷たいものは反対側で食べるようにします。また、歯磨きは優しく丁寧に行い、強い刺激を与えないように注意してください。
強い痛みが続いた後に症状がなくなる場合もありますが、歯の神経が死んでしまったことで痛みがなくなっている場合もあります。そのため、症状が出た後はレントゲンなどで経過を確認する必要があります。
痛み止めを服用する
セラミック治療後の強い痛みには、市販の鎮痛剤の服用が一時的な対処法として有効です。痛み止めを服用することで、痛みの緩和と炎症の抑制が期待できます。
とくにロキソニンなどの消炎鎮痛剤を用いることで、痛みを和らげられるでしょう。ただし、一時的な痛みを抑えるだけに過ぎないので、必ず歯科医院へ相談してください。
セラミック治療後に痛みを引き起こさないための過ごし方
セラミック治療後は、痛みを引き起こさないためにも、下記3つをしっかりとおこなってください。
- 毎日の丁寧な口腔ケア
- 定期検診を受ける
- 違和感があればすぐに相談する
基本的にはケアが大切です。しかし、ご自身のケアだけで防げない場合もありますので、必ず定期検診に行きましょう。
以下では、それぞれの方法や効果について解説しますので、参考にしながら実践してください。
毎日の丁寧な口腔ケア
セラミック治療後の歯を長く健康に保つには、毎日の丁寧な口腔ケアが欠かせません。セラミックが汚れにくい素材であっても、適切なケアを怠ると二次カリエスや歯周病のリスクが高まるためです。
特に歯と歯の間は汚れが溜まりやすい場所なので、しっかり磨いてください。ただし、強くこすらず、優しく丁寧に磨くのがポイントです。さらに歯間ブラシやフロスを使用することで、歯ブラシだけでは取り除けない汚れまで除去できます。
毎日の丁寧なケアで、セラミック治療の効果を長く保てるようにしましょう。
定期検診を受ける
セラミック治療を受けた後は、定期的な歯科検診で状態をチェックしましょう。早期に問題を発見することで、深刻な症状を防げるためです。
3ヶ月に1回の受診が推奨されますが、口腔状態によって間隔は調整します。たとえば、清掃状態が良い人であれば、もう少し間隔を空けても問題ありません。反対に歯周病のリスクが高い場合は、1ヶ月に1回おこなうケースがあります。
予防と早期発見で、セラミックの寿命を延ばし、快適な状態を保ちましょう。
違和感があればすぐに相談する
セラミック治療後に少しでも違和感があれば、すぐに歯科医院へ相談してください。早期に対処することで、症状が悪化する前に問題を解決できる可能性が高いためです。
小さな違和感も、放置すると深刻な症状につながるケースがあります。たとえば、噛み合わせの違和感、冷たいものでの痛み、染みる感覚、歯茎の腫れなど、普段と異なる症状に気付いたらサインです。
些細な変化でも報告することで、早期発見・早期治療が可能になります。